7割が導入! フリーアドレスを成功するための導入方法とは?!
新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの働き方は大きく変化したと言われています。
働き方の転換期を迎えた今、実際に自分達のオフィスはこのままで良いのか?どうあるべきなのか?と悩まれている方も多いかと思います。
目指すべきオフィスを作っていくための手段の一つとして、今回は「フリーアドレス」をご紹介します。
フリーアドレスを取り入れることで、社員が働きやすい環境を実現していくために、実際にどのように運用をしているのか、
どうすれば失敗しないのか等、実例も踏まえてご紹介していきます。
目次
1フリーアドレスとは。その種類と運用の仕方
2フリーアドレスの目的。何のために導入するのか。
3フリーアドレスのメリット・デメリット
4フリーアドレス導入企業の実際の運用方法
5フリーアドレス成功へ向けて
1. フリーアドレスとは。その種類と運用の仕方
フリーアドレスとは、オフィスの中で固定席を持たずに、ノートパソコンなどを活用して自分自身の最適な席を選択して働くワークスタイルのことです。
1987年に清水建設の技術研究所で試験的に導入されたのが最初です。
90年代になると、各企業がフリーアドレスを導入しはじめ、2000年代にかけて浸透しました。その時の主目的はオフィスのスペースコスト削減でした。
その後変化を遂げていき、2010年代にかけてのフリーアドレスの主目的は、コミュニケーションの促進や社員のモチベーションアップ、
業務の効率化向上等の業務改善の手段の一つとしての意味合いが強くなっていきました。
ワークスタイルに合わせて最適な場所を選択する「フリーアドレス」ですが、
実際にどのような運用方法があるのか、簡単にご紹介します。
①ノンテリトリアルオフィス【100%フリーアドレス】
オフィスの中で個人が決まった席を持たない完全フリーアドレス。空いている席を自分自身で選んで座る方式で、
自律性のある社員でないと使いこなせない可能性があります。
一方で、オフィスにいない人のスペースを有効活用でき、組織変更や人員増に柔軟に対応でき、
個人が自由に動き回ることで、組織横断的なコミュニケーションが期待できます。
②チームアドレス【チーム・グループ毎に座る場所を定めたスタイル】
チームやグループ単位で座る場所を定めたフリーアドレス。チーム内の組織運営は、従来の所謂島型対向式のものと相違ないので、組織運営はしやすい。
チーム内のコミュニケーション向上に寄与します。チームの大きさは運用に合わせてさまざまな設定が可能となり、
オフィス全体で座る位置を定期的に入れ替える事で、様々なチーム間での交流を促進することも可能です。
③ハイブリットアドレス【フリーアドレスと固定席を組み合わせたスタイル】
フリーアドレスと固定席を組み合わせたワークスタイル。自律的な働き方と組織のまとまりを生み出す組織運営が出来ます。
週に何日かは「フリーアドレス」で、横断的な他部門との交流を生み出し、何日かは「固定」とし、チームやグループでのコミュニケーションを促進します。
「固定」スペースには、“半個室環境”や“こもれる環境”をつくることで、より濃密なコミュニケーションを取ることも可能となります。
2. フリーアドレスの目的。何のために導入するのか。
では、フリーアドレスの実現性が改めて見直されている近年、フリーアドレスを導入している、もしくは検討している企業の目的はどういったものが実際に多いのでしょうか。
主なケースとしては、以下のような目的が多く挙げられます。
●部署間やメンバー間でのコミュニケーションをより活性化したい
●オフィス空間を有効利用したい、賃料コストの効率化を図りたい
●リモートワークへの移行等により、働き方が変わったことに対する業務効率向上
また、柔軟な働き方の第一歩となるフリーアドレスで、一人ひとりの主体性や自律性を高めることにもつながるので、社員満足度の向上に期待する傾向もあります。
3. フリーアドレスのメリット・デメリット
様々な目的で取り入れられるフリーアドレスですが、どのような効果があるのでしょうか。メリット・デメリットをみていきましょう。
●メリット
①スペースの有効活用
フリーアドレスを導入すると、全社員分の座席を用意する必要がありません。在席率を把握し、席数を算出することで執務席スペースのコストを削減することが可能で、
ミーティングスペースやコミュニケーションスペース等の用途に充てることも出来ます。
また座席が決まっていないので、組織変更やプロジェクト毎の人数の増減等の急な変更にも工事を行なわずに柔軟に対応できるというメリットもあります。
②部署を超えたコミュニケーションの促進
毎日異なる人と席を接して仕事をすることで、これまで交流のなかった他部署の社員との自由闊達な意見交換などが持てる機会が生まれます。
部署内に固定しがちなコミュニケーションですが、全社的なコミュニケーションの活性化が期待できます。情報共有も強化されることが考えられ、新たな情報や発想を得ることで、
生産性の向上も期待できる点もフリーアドレスを採用する大きなメリットです。
③ペーパーレス化による業務効率アップ
フリーアドレスでは、基本的に机の上に資料やファイルをおいておくことが出来ません。資料は、基本的には共有データファイルとして電子化をしていきます。
また、Web会議システムの導入等によるペーパーレス化がより促進していくことが予想できます。ペーパーレス化により、紙や印刷にかかるコストや時間の削減にもつながり、
また資料の検索や社内の情報共有がより容易になり、業務効率化が進んでいくこともメリットの1つです。
④主体性を持った、自律的な働き方の促進
社員一人ひとりがその日の仕事に合わせて必要な物や環境を整えて、好みの場所を選ぶことで、仕事に対して主体性を持ち、自律した働き方へと変化していく事ができます。
また、帰宅の際は全て片付けていかなければいけないことで、仕事を残さずに時間内でやりきる力や、整理整頓・清掃が習慣化してきます。
●デメリット
①席の固定化・席の取り合いから生まれる不自由さ
フリーアドレスの最大の特徴は、自分自身の好きな場所で仕事ができるという点です。一方で、気がつけば同じ人がいつも同じ場所に座ってしまうということも
フリーアドレス導入後の課題としてよく挙げられます。「好きな場所の取り合い」にもなり、自分が選びたかった場所ではない所で仕事をすることになった時に不自由さを感じたり、
なかには周囲の雑音が気になり、仕事に集中できない方もいるかもしれません。その結果、業務効率が下がり、フリーアドレスの失敗の原因にもなります。
②コミュニティの偏り
自分自身で好きな場所を選べることで、同じ部署の仲間や気の合う人が集まってしまい、関わるコミュニティが偏ってしまうデメリットもあります。
フリーアドレスでコミュニケーションの幅を広げるはずが、自由であるがゆえに偏ったコミュニティを作ってしまう人もいるのです。
また、コミュニケーションが不得意なせいで自然と孤立したり、帰属意識が薄らいでしまったりする社員も中にはいます。
③誰がどこにいるか分かりにくい、人材育成の妨げにもなる
固定席だと誰がいるかいないのかがすぐに分かりますが、フリーアドレスでは社員が常に決まった席にいるわけではないため、
誰がどこで仕事をしているのか分かりにくいというデメリットが出てきます。
一声かければ済むようなことも手間を取ることもあると思います。また、必要な連絡を伝えたいときや上司に相談したい状況が発生したとき、
すぐに見つからなければ業務に支障をきたしてしまいます。
上司は部下の仕事を常に見ることもできないので、業務効率の低下や人材を育てる妨げにもつながります。
④社内環境の整備に費用がかかる
フリーアドレスを導入するためには、席を自由にするだけではなく、多少の費用をかけて準備する必要があります。
どの席で働いても不自由がないように無線LANやWi-Fi環境の整備、また固定電話やデスクトップパソコンではなく1人の社員に1つ、
会社のスマホとノートパソコンを支給する必要があります。他にもクラウドサービスの導入など、
フリーアドレスを導入し社員が快適に働ける環境をしっかり構築するためには様々な費用が発生していきます。
⑤書類や持ち物などの管理が大変
フリーアドレスの場合、働く席は他の社員とも共有して使用するため、個人の荷物を席に置きっぱなしにすることはできません。
固定席があれば書類や文具などの細かい備品を引き出し等に収納しておけますが、フリーアドレスではそれが出来ないため、管理しにくくなります。
席を移動するたびに持ち歩くことになれば、紛失などのトラブルにもつながりかねないため、書類や持ち物の管理方法もあわせて考える必要があります。
4. フリーアドレス導入企業の実際の運用方法
働き方改革やテレワークへの移行によるワークスタイルの変化により、実際にフリーアドレスを検討・導入する企業が増えてきています。
フリーアドレスの導入することで、たくさんのメリットがありますが、導入した企業のなかにはうまくいかないなと感じていることもあるかと思います。
では、実際のところはどうなのでしょうか。
弊社実績でみると、【完全フリーアドレスにする運用】は全体の10%・【固定席を残しつつ、一部フリーアドレスでの運用】は全体の60%・
【フリーアドレスはやっぱり…固定席での運用】は全体の30%となっています。(2022年時比較)
【完全フリーアドレスにする運用】が向いている企業
「社員の在席率が低い企業」
「部署を越えたプロジェクトが多い企業」
「新たな価値の創造を求めている企業」
「社員同士のコミュニケーション方法を変えたい企業」
「働き方改革に積極的な企業」・・・
【フリーアドレスはやっぱり…固定席での運用】が向いている企業
「決められたデスクで集中して作業する機会が多い企業」
「機密情報を多く扱う企業」
「社内のコーポレート部門」・・・
やはり仕事の業務内容や職種ごとの業務特性によっては、フリーアドレスが向いていない、成り立たない部署や業務もあります。
働き方は千差万別なので、会社のスタイルや働き方にあったオフィスプランや制度をきちんと見つけていくことが大切かと思います。
フリーアドレスを導入して成功している企業もたくさんあります。
一方で失敗してしまう企業もあります。ここでは実際に失敗してしまった例をご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
【失敗事例】
更なる会社の高みを目指すために、働き方改革を行ない、全社的にフリーアドレスを導入。結果的に、社員同士のコミュニケーションは取りやすくなり、
課題自体は減っていき、社員の満足度は上がっていったが、一部“働きにくい状況”が生まれてしまい、業務効率が下がってしまった。
●具体的な失敗ポイント
・全体的にコミュニケーションが取りやすくなった一方で、縦横のコミュニケーションがうまくとれずに、職場の雰囲気が悪くなってしまった。
・フリーアドレス席で様々なスタイルの場所を作ったが、ほとんど使用されていない場所が出てきてしまい、勿体ない状況に。また全体的にデスクが狭くなってしまい、働きにくい環境に。
・事務職などは、必要な書類や機能が近くになく、業務効率の低下につながってしまった。
・全席フリーアドレス化をしてしまったことで、集中できない状況に。席によっては、周りの騒音も非常に気になってしまった。
5. フリーアドレス成功へ向けて
今回ご紹介してきたフリーアドレスですが、導入の仕方・運用方法を間違えると働きにくい環境をつくってしまう場合もあります。
ただ導入すれば良いわけではなく、フリーアドレスを成功に導くためにはいくつか運用面でのポイントがあります。せっかくフリーアドレスを検討するのであれば、
失敗だったという状況に陥らないために、対策や計画をしっかりと立てておく必要があります。
何のためにフリーアドレスを実施するのか(会社の目指す姿やありたい姿)・どのような運用をするのか、
ルールの作成・フリーアドレスの働き方にあったサポートツールの検討
大切なポイントを押さえたうえで、オフィスリニューアルの計画を進めていく事が大切です。フリーアドレスの導入を考えられている方は、是非一度ご相談下さい。
フリーアドレスで良い結果をつくっていくために、一緒に考えていきましょう。